こんなことなら・・・
母サダコは数年前まで、だがしや切手などを売る商売を
していた。もちろん、耳は遠いままで。
ある日、きくしゃんがサダコを訪ねると、
店の奥から、おじいさんが怒りながら出て来た。
話を聞くと、怒りたくもなるわと共感できた。
おじいさんは葉書を5枚買いに来た。
呼べど叫べどサダコは出てこない。
姿がそこに見えるのに・・・テレビに夢中。
暗い、ぼこぼこした土間を呼びながら行くと、転んだ。
やっと、サダコは客の存在に気付く。
その時は、すでにおじいさん、息切れ状態。
「葉書を5枚」とおじいさん。
サダコは押入れの箱を取り出しさらにビニール袋に入った葉書を
取り出す。5枚を何度も何度も確認してから渡す。
おつりが出て来るまでに更に待たされる。
そして、やっと手にして帰るところだった。
おじいさん
「こんなことなら、2キロ先の郵便局に買いに行けば良かった!
そのほうが、よっぽど早かったわい!」と頭をさすりながら帰って行く。
ごもっともです。相すみません。とおじいさんを見送るきくしゃん。
こんな犠牲者が続出のサダコの店が何十年と存在したことが不思議だ。